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記事: 原点に触れて

原点に触れて

原点に触れて

先日、休みをもらって、息子と二人でドライブに出かけた。

特別な目的地があったわけじゃない。何となく息子がお気に入りの公園へお出かけするだけの休日。コンビニで好きなジュースを選ばせて、信号で止まるたびに、街の景色を解説しながら。そういう、ただの休日。

しばらく走ったころ、息子が助手席でうとうとし始めた。その寝息が車内に落ち着きを作って、僕の頭の中の“音量”だけが少し下がった。

その瞬間、ふと、思った。

――そういえば、中学校どうなってるんだろう。

――昔住んでた家とか、神社とかまだあるのかな。

 

ハンドルを切る理由って、だいたいこんなもんでいい。何となくこっちだよな?とナビに入力するほどでもない、でも確かに行きたい場所。

僕は、寄り道をする事にした。

引っ越しをした小学3年から二十歳まで、青春を過ごした思い出の場所。

初めてのラブレターも、友人との喧嘩も、とても言えないような恥ずかしい話も、全て此処で経験した。

昔は、ヒョイっと登っていた外壁も、友人と屯していたエントランスも、そのままだった。妙に嬉しくなって、入ってみたくなったけど、そこは止めておく。

こんなに、小さかったかな?20数年ぶりの再会は込み上げてくるものがあった。

でも、やっぱり変化は訪れていて、ラジオ体操に通った、近所の神社はスッキリ綺麗になって、周りは田んぼだらけだったのに、今は会社やら、マンションで埋め尽くされ、田畑なんて見当たらない。

そんな風景の先の坂を登ると、中学校が見えてくる。

しごき、しごかれた坂道ダッシュ。

気合いで、追い上げたマラソン大会。

いつもふざけ合って、バカして帰るあの帰り道。

絶妙な距離で帰る、淡い恋の登下校の思い出。

恐らくギリギリ現存した世代の、スケバン同士の喧嘩など。

 

校門に向かう坂道って、なんであんなに“物語”があるんだろう。

あの頃は、明日が来るのが当たり前だと思っていた。

とっても貴重な、瞬間がたくさん此処にはあった。

 

嬉しくなって、写真を撮っていると、息子が目を覚ました。

目を擦りながら、ここどこ?って。

パパのとっても大切な場所だよ。

 

淡い記憶と共に、自分の原点を確認出来た。

今の住民も、今の学生も、誰も知らないが、

勝手に救われた、そんな瞬間だった。

 

勝手に確認して、勝手に救われて、何事もなかったように家に帰る。

贅沢な時間だった。古い友人に会いたくなった。

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